2025年3月7日、肥前吉田焼ギャラリーにて、九州大学生とのコラボ製品発表会「九大生と見つけた肥前吉田焼の可能性」が、開催されました。
今回、採用された5つのプロジェクトを紹介します。
加藤 愛×副千製陶所
磁器で作った篠笛「地産地奏」
愛知県の「吉田」出身の加藤さんが目をつけたのは、伝統芸能の面浮立。
面浮立で使われる笛を磁器で作れないか、ということで提案していただきました。
伝統芸能と伝統工芸のコラボ。想像しただけでワクワクします。
磁器なら、衣装のデザインに合わせて絵付けをすることも可能。
実際に面浮立の衣装に合わせて絵付けもされましたが、無地のものと比べて一気に華やかになりました。
磁器の篠笛が、面浮立をはじめとする伝統工芸の発展にも、貢献できれば幸いです。
田中 彩生×224porcelain×株式会社SING
嬉野で最初に触れる吉田焼「PorPen」
田中さんが着目したのは、旅館でチェックインをするときに使用するボールペン。
嬉野には多数の旅館があり、観光で訪れる方の多くが、ボールペンに触れる機会があります。
このペンが地元の肥前吉田焼で作られていたら…
そんな思いで生まれたPorPenは、嬉野という地名の由来となった人物「神功皇后」をイメージして、ミヅラという髪型や刀をしまう鞘を模りました。
重量感があり、力を入れなくてもサラサラとした書き心地を実現。
ペン先は太宰府市の株式会社SING様にご協力いただきました。
シンプルな黒・白に加え、華やかなゴールド・シルバーの4色を製作。
PorPenが嬉野に訪れた人々に、吉田焼を知ってもらうきっかけになって欲しいと思います。
武田 遥×224porcelain
日常生活に特別感をプラス「茶香炉」
嬉野の魅力の一つである、「嬉野茶」の香りを吉田焼で堪能できる茶香炉。
旅館やホテルの一室に置かれることをイメージして、フォーマルなデザインに仕上げました。
隙間からはキャンドルの火が覗き、嗅覚だけではなく、視覚からも癒しをお届けできる製品です。
茶葉と火の距離が遠すぎると香りが弱くなり、逆に近すぎると焼き物が割れる可能性があります。
香りを楽しめつつ、焼き物の耐久性を損なわない絶妙な距離に調整し、高級感があるデザインで実現しました。
今回発表した茶香炉は3つのパーツに分けられていますが、分解されないデザインも、製作中です。
お茶の香りでリラックスしてもらえるアイテムになるよう、製作を進めていきます。
深海 優佳×江口製陶所
お茶と温泉を同時に楽しむ「ちゃつぼおし」
磁器の中にお茶のパックを入れて使用する「ちゃつぼおし」は、お風呂の中で、ぜひとも使ってほしい製品です。
帽子のような形をしていますが、この突起は絶妙な力加減でツボを押すことができます。
しっかりとツボを刺激してくれるので、疲れた体をほぐすのに最適。
このアイディアのきっかけになったのは、和楽園様にある全国でも数少ない茶風呂。
まさに、お茶と温泉が有名な嬉野だから生まれたアイディアだと思います。
可愛らしい色味と持ち運びがしやすい小さなサイズ感。嬉野のお土産の選択肢の一つになるのではないでしょうか。
久保田 峻介×副武製陶所
物語を描く茶器「emaki」
巻物をイメージして作られた、急須と湯呑み。
まるで一枚の紙を重ね合わせたような形の中に、物語が描かれます。
湯呑みにお茶を注ぐと、中に描かれたお相撲さんが、まるで温泉に入っているかのような光景が。
器によって異なる物語は、どう考えるかも人それぞれ。
今後は、アーティストとのコラボやオーダーメイドへの対応も目指し、吉田焼の知名度アップに繋げていきたいと考えています。