interview

001

若手インタビュー

吉田で大好きな焼き物に携わりながら窯業以外の作家活動で活躍

interview

水墨画に金継ぎ細工などなどなど、多彩な作家活動をされている、徳太郎さん 。 吉田で作陶をしながら 、窯業に止まらず多方面に作家活動を実践している徳太郎さんに、吉田との出会いからこれまでの経験をお聞きしにいってきました 。

磁器工場でもくもくと働く徳太郎さん。

陶芸の世界に興味を持たれたきっかけを教えてください。

徳太郎さん子供の頃から絵を描くことが好きで、高校はデザイン学科を目指していたんです。ただ、僕は絵が得意な方ではなくて…。そんなとき、窯業科という学科が存在することを知り、陶芸をやってみようと思ったんです。

高校に入るまでは、全く陶芸はやったことがありませんでしたね。そして、実際に窯業科で学ぶ中で、自分の手で焼き物を作ることにやりがいを感じて、自分に向いていると感じましたね。さらに、焼き物に絵を描くこともできるし、手を動かすことも好きだったので、すぐに陶芸の魅力にとりつかれました。

高校卒業後は窯元に就職されたんですよね。

徳太郎さんそうです。高校生の頃、仲が良かった友人がいて、その友人の家にいつも遊びに行っていました。そこが窯元で社長をしていたお母さんに「うちに来ないか」と誘っていただいたんですよ。僕も陶芸の道に進みたいという思いがあったので、そのお誘いは嬉しかったですね。

その後、224で働くようになったきっかけを教えてください。

徳太郎さん高校卒業後に窯元に就職してから、いくつもの窯元で働かせてもらってから、独立をしたんです。独立した後でアクセサリー屋さんで2年間勤めたこともありましたが、やっぱり陶芸に携わりたいという思いがあったんですよ。

そんなとき、親戚から224でスタッフを募集しているという話を聞きました。そして親戚を通じて「興味がある」とお話したら、すぐに辻さんから連絡をいただいて「すぐにでも来てほしい」と。

224で働いてみてどうでしたか?

徳太郎さん大好きな焼き物に携われるのが嬉しかったですね。仕事は大変なことも多いですが、好きだからこそ続けられていると思います。

金継ぎもされてるそうですが、高校とかで習われたんですか?

徳太郎さんいえ、金継ぎは独学です。お客様から「割れた食器を捨てるのがもったいない…」という話を聞いていて、どうにかできないかと考えていたんですよ。金継ぎは高価なイメージがあって、なかなか依頼ができない方も多かったので…。

それなら自分ができるようになれば良いと思い、金継ぎの勉強を始めました。今では多くのお客様からご依頼いただくことも多く、大切に使われている食器を長く使い続けるためのお手伝いができていることを嬉しく思います。

徳太郎さんの金継ぎをもとめて、沢山の方から依頼されているそうです。お願いしたら断れないタイプの優しい徳太郎さんです。

休みの日は何をされていますか?

徳太郎さん好きな絵を描いて過ごしたり、サイクリングをしたり、落語を観に行ったり…。僕はかなり趣味が多いので、そのときにしたいことをして過ごしています。描いた絵は「欲しい」と言ってくれた方にプレゼントすることもありますね。

あとは、DIYも趣味なので、庭に置いてあるテーブルや椅子も自分で作りました。ピザ窯も購入しているので、家族が集まったときは、皆で外で料理を楽しむこともありますね。224の食器や自分で作った食器を使って食べる料理は、また格別です。

自分で作ったものが生活に溶け込んでるのが、とても素敵です。

お寺の屏風も描かれたそうですね。

徳太郎さんそうなんです。たまたま家にお経を上げに来た和尚さんが、就任式で必要な屏風に絵を描いてほしい」と依頼をもらって、水墨画を描くことになったんですよ。僕の家の襖にも自分で水墨画を描いていたので、それを見て頼みたいと思ってくれたみたいです。

完全にお任せいただいたので、「広雲寺」という名前から連想して、広い空を駆け巡る龍をイメージして描きました。依頼いただいた和尚さんには大満足していただけて、他のお寺の就任式で貸し出されていることもあるそうです。

そして、屏風を描いたことをFacebookにアップしたところ、商工会で知り合った友人から、神埼市で居酒屋をオープンすると連絡をもらいました。そこで「壁に龍の絵を描いて欲しい」と。友人は僕と同級生で、お互い辰年だったので、まさに龍の絵はぴったりだと思いましたね。今でも僕が描いた龍の絵はお座敷に飾ってあり、大事にしてあることを嬉しく思います。

あとは、妻の実家の襖にも、水墨画を描きました。襖に描かれているのは山水画ですね。お義父さんにもお義母さんに気に入ってもらえたので、描いて良かったと思いました。

圧巻の水墨画。ご紹介したお寺の他にも、徳太郎さんの水墨画が県内にあります。

妻の実家で描いた、襖絵の水墨画。こんな恩返しは素晴らしい。

今後、挑戦していきたいことはありますか?

徳太郎さん油絵ですね。やっぱり昔から好きだった絵を描くことは、これからも続けていきたいですね。さらに、表現技法も増やしていきたいです。手を動かすことでセンスも磨かれると思いますし、陶芸の世界で活かされる部分も多いのではないかなと考えています。

好きなものに楽しく、精一杯。そんな姿を見ることができました。

インタビュー、ライティング:野中倫奈 写真: 佐藤誠真