interview

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若手インタビュー

吉田での作陶と、
自然と共に生きる半自給自足の生活

interview

吉田で作陶をしながら、 自然と共に生きる。たくさんの動物たちと大自然の中で半自給自足の生活を送られている矢野さん。 豊かな生き方を実践しながら、吉田との出会いからこれまでの経験をお聞きしにいってきました。

新しく入ったスタッフさんに丁寧に作業内容を伝える矢野さん。

陶芸を始められたのはいつからですか?

矢野さん高校生の頃からです。私は大工さんやトラックの運転手のように、「手に職をつけたい」という思いが強かったので、高校は地元の熊本で、陶芸の勉強ができるところを選びました。職人さんや伝統工芸にも憧れていたんですよね。

実際に陶芸の勉強をしてみて、自分に向いているのは「ものづくり」と感じましたね。そして、陶芸について、もっと学びたいという意欲が湧きました。そこで有田の窯業大学に進むことを決め、佐賀での生活がスタートしましたね。当初は熊本から通おうかと考えていたのですが、交通費と生活費があまり変わらなかったのと、通学時間がもったいないと思ったので、佐賀で一人暮らしをすることになりました。大学からは歩いて30秒くらいのところに部屋を借りましたね。

224で働くようになったきっかけを教えてください。

矢野さん大学を卒業後は、技術センターで働いていました。そこに辻さんが来られていたのですが、あるとき「うちで働かないか」と誘ってもらえたんです。当時、私はどこかの窯元で働くことを考えていたので、辻さんにお誘いいただいたときはチャンスだと思いましたね。最初は数年後から働こうかと考えていたのですが、辻さんからの「今じゃないと数年後は募集しているかわからない」という言葉を受け、今すぐに働こうと決意しました。

224で働いてみてどうでしたか?

矢野さんすごく勉強になりましたね。学生時代から、自分でスケジュールを立てて作品を作るということがほとんどなかったので、最初は苦労しました。納期に間に合うようにスケジュールを進めることの難しさを感じましたね。想像以上の忙しさに最初は驚きましたが、そんな環境で働くことができて、良い経験になったと思います。

矢野さんは20代で家を買われたそうですね。

矢野さんはい、武雄の武内というところに一軒家を購入しました。そして、今は母と祖母も熊本から呼んで、一緒に暮らしています。最初はアパートで一人暮らしをしていました。でも、熊本地震が起きたことで、安全な場所に家族で住みたいと思い、一軒家を購入することにしたんです。

勤め先の隣の街に、畑と山付きの一軒家を購入。リフォームしながら、このエリアを育てるように生活されています。

武内を選んだ理由は何ですか?

矢野さんせっかく家を買うなら、動物を飼って、畑で野菜も育てたいと思っていたんですよ。さらに、静かな場所に住みたいという思いもあって。そこでたまたま空き家の情報を見て、「ここにしよう」と決めました。ただ、家の築年数が長かったので、改修工事に1年ほど時間がかかりましたね。だから、購入してから住み始めるまでの時間がすごく長く感じました。

今は実家で飼っていた犬の他に、猫が2匹とヤギが2頭、鶏を3羽飼っています。鶏には卵を産ませていて、畑で採れた野菜と一緒に、料理上手な母に料理を作ってもらうことも多いです。

そして私は大学生の頃、焼き鳥屋さんでアルバイトをしていたので、たまに家で焼き鳥を焼くこともあります。手作りのタレで食べる焼き鳥は最高です。匂いにつられて、飼っている犬も寄ってきますね。また、山の中の家なので車通りも少なくて、とても静かな場所でのんびりと生活できています。この場所を選んで良かったと思っていますね。

庭にいる矢野家のヤギさん。せっせと草を食べてくれていました。

今後、やりたいことはありますか?

矢野さん自宅にも窯を用意しているので、もっと自分の作品も作っていきたいですね。今も自分が作った焼き物で料理を食べることがあるのですが、高校生や大学生の頃に作った食器がほとんどなんです。昔作ったものも良いですが、食器の種類をもっと増やしていきたいですね。

そして、将来的には鶏も10羽に増やしたいと思っています。そのために鶏小屋を広げて、動物たちにとっても快適に暮らせるような環境づくりをしていきたいです。やりたいことが山積みですね。

矢野さんのプライベート窯。個人の作家活動にも精力的に取り組まれています。

最後に、吉田に移住を考えている人にメッセージをお願いします。

矢野さん吉田は焼き物をしたいという人にとっては、ぴったりの場所だと思います。伝統がある、かつ自由さもある吉田焼は、これからどんどん成長していくと思うんですよね。辻さんも吉田焼きを通して、いろいろな取り組みを考えているようで、このビッグウェーブにぜひ乗ってほしいです。一緒に吉田焼を盛り上げていきましょう!

こんな協力してくれる、吉田の先輩がいるのは頼もしい。

インタビュー、ライティング:野中倫奈 写真: 佐藤誠真